君ニ恋シテル


車内―――――――……


「このケーキうまっ」
「ほんと美味しいー!」

ケーキを食べながらスタッフが口々に話す。


「でしょ、でしょ!?
買ってきて正解ー!」

その言葉に逞が笑顔で反応する。


「あのなぁ、勝手にいなくなって買ってくるなんて、俺はまだ許してないからな!」

運転席で浩ちゃんはさっきから不機嫌だ。


そんな浩ちゃんに逞は、

「あーはいはい!もう何度も謝ったじゃん!浩ちゃんのぶんもケーキあるから機嫌直してよー」

さっきからずっとこんなやり取りが続いている。


「浩ちゃん、ほんとにごめん」

俺は一番後ろの座席から、もう一度浩ちゃんに謝った。

「ほら、徹平も反省してることだし、今回は許してよ。
もう二度としないから」

俺の横に座る逞が浩ちゃんに言う。

なんだよそれ。
反省してることだしって…逞が言いだしたことだろ。

俺は逞を睨みつける。

逞は手を合わせて、ごめんと謝るポーズをとった。

ほんと逞は調子がいい。
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