君ニ恋シテル
枕元にあるリモコンを手に取り、テレビを消す。

シーンとした部屋。
なんの音もしない。

静かな夜。

少しだけ、涙がこぼれた。
ほんの少しだけ。


なぜか今朝見た夢を思いだす。

「優奈ちゃん、君だけのために歌うよ」

てっちゃんが私にそう言ったっけ。

どんだけ夢見てるのかな、私…。


なんかわかんないけど、よけいに虚しいよ。

会う前よりも、もっと、もっと…。

心が暗闇に落とされた。

特別になりたいなんて…最初から遠すぎる夢。


てっちゃんが芸能人じゃなければよかったのに…。



想う気持ちが強くなった。
そしたらもっと遠い人になった。



私はそのまま眠ってしまった。
夢は見なかった。
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