君ニ恋シテル
私達は帰ることにした。
「一回だけっていう楽しみかたもあるよね!
きっとまたこういう機会あると思うし。
まぁ、CDは沢山売れたほうがいいに決まってるけど…あれだけ人気だし、大丈夫!」
そう言いながら亜紀ちゃんは笑顔でCD販売のコーナーを見つめた。
「うん、そうだよね」
一回だけの特別なハグ。
たった一瞬でも、私にとっては大切な思い出。
てっちゃんにとって私は、沢山のファンの中の一人でしかないけど。
まだ体に残るぬくもりが、胸をキュンとさせた。
時刻は夕暮れ時。
会場を見渡すと、辺り一面オレンジ色。
キレイ…。