君ニ恋シテル
「やったぁ!あとでメールするね」

そう言うと西村さんは浜辺のほうへ走って行く。


西村さんを見送ると、俺と逞は顔を見合わせた。

「噂では聞いてたけど、西村陽花の性格………。
俺のことめっちゃ鬱陶しそうな顔で見てたし」

逞は西村さんを苦い表情で見つめる。

あれが本当の西村陽花。

テレビで見せている清楚な印象とはまったくかけ離れた、真逆な性格だった。


「おいっ、お前らアドレス教えたのか!?」

さっきまで向こうで俺達を見ていた浩ちゃんが、気づけば近くに来ていた。


俺と逞は浩ちゃんの言葉に頷く。

「おい、間違ってもあいつを好きになるなよ?
あのクソガキ…憎たらしいったら…」

そう言いながら浩ちゃんは浜辺を歩く西村さんを睨みつけた。
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