君ニ恋シテル
「…徹平、特にお前は気をつけろよ。気に入られてるみたいだしな」

浩ちゃんが真剣な声で俺にそう言うと、逞がうんうんと頷く。


「かなり気に入られてるね。
俺なんかついでだぜ?
西村陽花の冷たい目見ただろ?」


俺は浜辺を歩く西村さんに視線を向けた。

すると、西村さんとバッチリ目が合う。

西村さんはにっこり笑うと、俺にむかって手を振ってきた。


「徹平、手振り返すなよ」

浩ちゃんははそう言いながら、また西村さんを睨みつける。


「浩ちゃん、またシワが!」

「えっ…あぁ、ヤバイ!
って、逞お前いい加減にしろよ?
おいっ、徹平笑うな!」


浩ちゃんはごほんと咳払いをした。

「ったく、なんだよ。
二人して人をバカにして。
あー、喉渇いた!
逞、お前飲み物持ってこい」

「はっ!?なんだよそれ!
しかもなんで俺!?」

「シワでからかった罰だ」

ニヤリと笑う浩ちゃん。


「意味わかんねーし!」

ぶつぶつと文句を言いながら飲み物を取りに行く逞の後ろ姿を、浩ちゃんは勝ち誇った笑みで見つめていた。




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