君ニ恋シテル
振り向くと、そこには早見一郎(はやみいちろう)がいた。

早見一郎は私のマネージャー。

「いちいち言われなくたってわかってるし…」

「あっ、あぁ、ごめんね。そうだよね。わかってるよね」


ウッザー。
そのおどおどした態度が毎回ムカつくんだよ。


「はぁーーーっ」

私は思いっきりため息をついた。

早見はあわあわして私を見る。


「…ちっ」

その姿にますますイライラして舌打ちをした。

早見の体がビクンっと跳ね上がる。


大体にして、私とたいして歳も変わらない男がマネージャーだなんて、納得いかない。

新人だし大目に見てたけど、こいつ見てるとイライラしてくるんだよね。

あーぁ、またマネージャー変えてもらおうかなー。


怯える早見から視線を離すと、緑川浩二が視界に入る。

緑川浩二は飲み物を溢したのか、慌てて自分の服を拭いていた。


……………。


あいつよりはマシか。

「は、陽花ちゃん…?」

震える声で話す早見に視線を戻す。


「行くわよ」


歩き出す私の後ろを、早見は慌てて追いかけた。
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