君ニ恋シテル

テレビ局―――――――…


「徹平くんっ」

「わっ!…あ、西村さん、お疲れ様」

「ふふっ」

ついさっき、『夏に恋して』の番宣が終わった。

徹平くん、さっさと一人でスタジオ出ていっちゃうんだもん。

慌てて追いかけて、徹平くんの腕に飛び付いた。


「西村さん、腕…」

「ん?役作り役作り。
いずれこんな場面もあるだろうし…」

絡めた腕をぎゅっとし、徹平くんの肩に寄りかかる。


「徹平くん…なんかこうしてると、ほんとの恋人同士になったみたいだね」

私は上目遣いで徹平くんを見つめた。



「おい!徹平!」

げっ……。
後ろを振り向くと、大嫌いな緑川浩二がいた。

緑川浩二は私のことを思いっきりイヤそうな顔で見ると、徹平くんの腕を引っ張り私から引き剥がす。

「何やってんだよ、早く行くぞ!」


あー、マジ最悪。
せっかく良い雰囲気だったのに!

足早に歩く緑川浩二の後ろ姿を、私は思いっきり睨み付けた。
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