君ニ恋シテル
一人で席に座っているのは、あの子だった。

コンサートで隣の席だった、あの子。

テーブルにはチョコレートケーキが。

コーヒーを片手に、私達を無言で見つめている。


「優奈…こんなことってあるんだね」

「う、うん」

亜紀ちゃんが小声で私に話しかける。


ほんとに驚いた。
まさかまた会うなんて…。
しかも、こんなマイナーなファミレスで。

目が合ったまま、棒立ち状態の私と亜紀ちゃん。


「…話しかけてみよっか?」

「えっ」


「どうも、こんばんはー!
さっきBoy★2のコンサートにいましたよね?」

私の答えを待たずに、亜紀ちゃんはあの子に向かって話しかける。

あの子は一瞬驚きの表情を浮かべ目を見開いた。

そして、

「ええ……。」

静かな声で返事をする。


「一緒にいいですか?」

亜紀ちゃんはニコッと笑うと、あの子と向い合わせの席に腰をおろす。

亜紀ちゃん座っちゃったし!
まだいいよって言われてないのに!

あの子を見ると、表情一つ変えず、黙って亜紀ちゃんを見つめている。

お、怒ってるのかな…?
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