君ニ恋シテル
あの子はコーヒーを一口飲むと、静かに口を開いた。

「私の名前は小沢百合香(おざわ ゆりか)」

百合香ちゃんって言うんだ…。
そして同い年ということもわかった。


しかも…

「桜丘大学ー!?超エリートじゃん!!小沢ちゃんってお嬢様!?セレブなの!?」

亜紀ちゃんはテーブルに前のめりになり、百合香ちゃんに向かって言った。


「小沢ちゃん…?」

百合香ちゃんはそう言うと、亜紀ちゃんをジッと見つめる。


「えっ?小沢ちゃんって呼んじゃダメ?」

きょとんとする亜紀ちゃん。


「…別に、ダメじゃないわ」

「じゃあ小沢ちゃんで!」

亜紀ちゃんがニコッと笑う。


「百合香ちゃん、桜丘大学に通ってるなんて、ほんと凄いね」

私は感心して百合香ちゃんをまじまじと見つめた。

桜丘大学っていったら、エリート中のエリート。

その大学に百合香ちゃんが通っているというのだ。


「普通のことよ。エスカレーター式で大学まで行っただけのこと。凄いことじゃないわ…」

百合香ちゃんはそう言うと、眼鏡をクイッと押し上げた。
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