君ニ恋シテル
「そ、そういえば、百合香ちゃんはなんでこのファミレスに来たの?」
亜紀ちゃんと百合香ちゃんの間に微妙な空気が流れる中、私は話題を変えようと口を開いた。
わかりづらい場所にあるこのファミレス。
そして、ファミリーレストランという地味な看板。
どう考えても、セレブな百合香ちゃんが来そうな場所じゃない。
あっちの新しいファミレスならまだわかるけど…。
「…人がいなくていいなって思ったからよ。あっちのファミレスは人がごちゃごちゃいたわ。ちょっと落ち着ける場所に来たくて…ここは偶然見つけたんだけど、入って正解だったわ」
「そうだったんだ。いいファミレスだよね」
「ええ…そうね。まあ…普段だったら絶対来ないけど。今日はたまたまよ」
「あはは…」
静かな店内で、私達は会話を続ける。
「アイスコーヒーおかわりしようかなぁ。喉渇く」
亜紀ちゃんはそう言うと席を立ち、ドリンクバーのコーナーへと向かった。
私と百合香ちゃんもおかわりすることに。
私はメロンソーダ、百合香ちゃんはホットコーヒーを。
そして…私達だけだった店内に変化が訪れようとしていた。