君ニ恋シテル


「ふんっ!」

その時、大きな鼻息の音が耳に入った。

はっ!っと我に帰り、亜紀ちゃんから腕を離す。

視線を向けると、物凄く嫌そうな顔をしている百合香ちゃんの姿。


うっ!怖い…!

一瞬で凍りついてしまう。
もう何度も睨まれているのに全然慣れない。


『なんで徹平くんと友達なの?』

百合香ちゃんの目はそう言っていた。


「あっ…百合香ちゃん、あのね…」

「そっか!小沢ちゃん知らないんだもんね!いいよいいよー!今から話してあげる!」

私の弱々しい声をはねのけ、亜紀ちゃんが楽しそうに声を上げた。


挑戦的な目で亜紀ちゃんを見る百合香ちゃん。

だけど、亜紀ちゃんは全く怯む様子もなく、ニコニコしている。

凄いなぁ…私だったらすぐびくびくしちゃうのに。
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