君ニ恋シテル
「…あの時は亜紀がイベント行くの、イヤでイヤで仕方なかったんだよなぁ」
「なんで?」
急に話し出した洋祐くんの言葉に、逞くんが反応する。
「ん?だってハグされたらイヤじゃん」
「やきもち妬きなんだね」
洋祐くんを見て、野田沙弓がフフッと笑った。
「亜紀ちゃんかなり愛されてるねー」
逞くんが冷やかすように言うと、亜紀ちゃんは真っ赤になり、恥ずかしそうに洋祐くんの肩をぽかぽかと叩く。
「亜紀っ、痛い!」
「もうっ」
洋祐くんが痛がると、亜紀ちゃんは叩くのをやめた。
「あはは!でもほんとイベの日が懐かしく感じるなぁ。テントに亜紀ちゃんと優奈ちゃんが入ってきたとき、すぐにわかったからね。百合香ちゃんのことも。覚えてたから」
懐かしそうに話す逞くんに、てっちゃんも頷く。
『覚えてたから』
その言葉が本当に嬉しくて、心が温かくなった。