君ニ恋シテル
「あはは!まあまあ二人とも落ち着いて。でもこれも…何かの縁かもね」

沙弓ちゃんが空を見上げながら静かに呟いた。

夜空に浮かぶキレイな月が、俺達を照らす。


「運命…ってやつ?」

「そう!運命!だってこんなに偶然が重なるなんて中々ないよ!」

逞の言葉に、沙弓ちゃんは笑顔で答える。


運命…か。


「俺もそう思う!こんなことってまずないだろ」

「これからもっと仲良くなれたらいいな」

「徹平!優奈ちゃんと仲良くなれたらいいな!」

まただよ…。
ワザとらしく優奈ちゃん限定で言ってくる。

ニヤニヤした笑みを浮かべる逞から、俺は無言で目をそらした。


「無視!?って、さゆ笑うな!」

「あはは!だって」

「あっ!徹平お前も無視しておきながら笑いやがって、ムカツク!」



そんな俺達のやり取りを、月が優しく見守る。

俺達はいつも以上に会話を弾ませ、家への道のりを歩いた。
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