君ニ恋シテル

* * *

何度も何度も亜紀にキスをしたあと、また二人、手を繋いで歩く。


「亜紀」

「ん?」

名前を呼ぶと、亜紀は俺の顔を見上げた。


「ただ呼んでみただけ」

「えー!なにそれー!」

そう言って頬を膨らます亜紀は、やっぱり凄く可愛くて…。


どうしようもなく、不安になるんだ。

もう何年も付き合ってるのにな…。

どんなに抱き締めても、キスしても、俺の腕をすり抜けていってしまいそうで…不安になる。

俺って小さい男だよな…。


「はぁー…」

「なーにため息ついてんのっ」

「あっ?あぁ…別に」

やべっ、無意識にため息ついてるし。


「もうっ!」

「わっ!亜紀!」


亜紀は急に抱きついてきたかと思うと、上目遣いで俺を見つめてきた。

大きな瞳の中に俺が映る。



「大好きって…さっきも言ったでしょ?」

そう言って、恥ずかしそうに俺の胸に顔を埋める。


「亜紀っ…」

気づいたら、俺はまた亜紀を強く抱きしめていた。
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