君ニ恋シテル
「徹平くんと話したかったのにー!」

西村さんは周りの様子を気にすることなく言葉を続けた。


「ごほんっ!はい、無駄話はそこまでー」

浩ちゃんは大袈裟な咳払いをし、西村さんの言葉を止める。

西村さんは怒ったように浩ちゃんを思いっきり睨みつけた。


浩ちゃんから目をそらすと、

「じゃあ徹平くん、またあとでね」

西村さんは笑顔でそう言い、扉に手をかける。


楽屋を出る直前、沙弓ちゃんを一睨みし、西村さんは足早に楽屋を後にした。

扉が閉まると、沙弓ちゃんは俺と逞に目配せをし、苦笑いを浮かべる。


「…なんだあの態度は?ほんっとあいつは…」

浩ちゃんは大きなため息をついた。


「それじゃあ私も失礼しますね」

沙弓ちゃんがぺこりと頭を下げ、扉に手をかける。

逞は浩ちゃんにバレないように、沙弓ちゃんに小さく手を振った。
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