君ニ恋シテル
◇◇◇
「あー!マジあいつムカツク!」
楽屋に戻った西村陽花は一人イライラしていた。
緑川浩二ウザイ!
あいつほんっとウザイ!
もっと徹平くんと話したかったのに!
野田沙弓もウザイし。
あいつお利口ぶっててムカツクんだよねー。
周りから良く見られようとしてるの見え見え。
大嫌い。
徹平くん狙いだったらもっとウザイなぁ。
早く人気なくなればいいのに。
大して可愛くもないのに、なんで人気あるんだろ?
信じらんない。
「陽花ちゃん、どうしたの?
何かあった…?」
早見一郎がビクビクした様子で話しかけてきた。
「…別に」
余計ムカツクから話しかけないでほしい。
「はい。これでも飲んで頑張ろう」
早見はメロンソーダを私に差し出した。
「は!?いらないしっ!私、メロンソーダ大嫌いなの!こんな子供っぽい飲み物!他の持ってきて!」
「はっはいぃっ!」
もうっ!
PV撮影の時も嫌々飲んだんだから。
私はイライラしたまま頬杖をつき時計を見た。
もうすぐ本番。
時間はあっという間に流れていった。