君ニ恋シテル
コンビニ――――――――…
「逞、早く」
「ちょい待って。んー、じゃあこれ!」
俺達はツアーで地方に来ていた。
今はコンビニで買い物中。
俺はピーチティー、逞は散々迷って決めたレモンティーを手に持ってレジに向かう。
「いっ、いらっしゃいませ…」
店員の女の子は小さな声でそう言うと、俯きがちにレジを打ち始めた。
名札には中本と書かれている。
なんとなく、優奈ちゃんに似てるな…。
ケーキ屋Happinessで会った時の優奈ちゃんと重なって見える。
「10円のお釣りになります…」
その子は震える手でお釣りを差し出した。
「ありがとう。頑張ってね」
「…はっ、はい!」
声をかけると、その子はバッと顔を上げた。
ばっちりと目が合う。
と、一瞬のうちにまた俯いてしまった。
「バイバイ!」
逞が笑顔で手を振る。
「あっ、ありがとうございました!」
最後にもう一度目が合い、俺も笑顔で手を振った。
そして…
コンビニを後にした俺達は、コンサート会場へと急いだ。