君ニ恋シテル


「あっ!徹平と優奈ちゃんいたいたー!」

「逞っ…!声大きいよ」

店の扉が開く音と同時に、逞くんと沙弓ちゃんの声が耳に入った。

…と、てっちゃんは私の頭からパッと手を離し、ヘアゴムをもとの位置に戻し、声のした方向に視線を向ける。


た、助かった…。
離れた手と距離に、ホッと安堵する。

まだドキドキする胸のまま、私も後ろを振り向いた。


「優奈ここにいたんだぁー!」

亜紀ちゃんの明るい声に、私はなんとなくどぎまぎしながら頷く。


見るとそこには洋祐くんと百合香ちゃんもいて、メンバー全員が勢揃いしていた。

百合香ちゃんは何故か不機嫌な顔をしている。


「徹平、優奈ちゃんと二人でいたんだぁー!」

そばに来た逞くんが笑顔でてっちゃんに話しかける。


「うん…っていうかなんだよその目は」

「別にぃー?あっ!あっちに男ものの服あんじゃん!徹平も付き合えよ」

「俺さっき見たし」

「いいから、いいから」

逞くんに無理矢理引っ張られ、てっちゃんはまた向こうの洋服売り場を見に行くはめに。
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