君ニ恋シテル
すると、すぐに亜紀ちゃんと百合香ちゃんからも連絡が入った。

なんと二人も見事当選!

コンサートの最前列のことも、オルゴールのこともそうだけど、運が良すぎて怖いくらい。

ほんと信じられないよ…。
夢みたい。

旅行といっても行き先は近場で、日にちは8月27、28、29。

28日はちょうどてっちゃんの誕生日だ。

誕生日を一緒に過ごせるんだ…。

直接プレゼントを渡せるかもしれない…。

考えると嬉しくて胸が高鳴った。


~♪~♪

と、突然携帯が着信を告げる。

誰だろう?
えっ!てっちゃんから…!?


…………。


なんとなく、出るのを戸惑ってしまう。
でも、早く出ないと…。

数秒間、画面とにらめっこ。
…ドキドキしながら、私は通話ボタンを押した。


「もしもし…」

『あ、優奈ちゃん』

電話の向こうから聞こえるてっちゃんの声。妙な緊張感に、胸がざわつく。


『…今日はその、撮影後全く話せないで終わっちゃったから…ちょっと話したいなって思って』

「えっ…あっ、うん!撮影よかったよ…見てて凄くドキドキしちゃった」

なるべく、普通に。
緊張を必死で隠そうと、私はいつもより声のトーンを上げた。


旅行の当選の喜びで、一瞬忘れていたキスシーン。あっという間に思い出してしまった。ほんとに忘れていたわけではないけど…。


でも…てっちゃんがまた電話をかけてきてくれるなんて。

嬉しい…。
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