君ニ恋シテル
…と、ドーンと大きな音と共に、夜空に花火が打ち上がる。


「始まったね」

子供みたいな満面の笑みで、こちらを見るてっちゃん。

花火の明かりに照らされた笑顔。
私も釣られて笑顔になった。


「わぁー!すごーい!」

打ち上がるたびに、はしゃいでしまう。
楽しくて、楽しくて。黙っていられない。


「綺麗だね」

「ねっ!すっごく綺麗ー!」

さっきまでの心のモヤモヤが消えてゆく。
いつの間にか、心の底から笑っていた。


凄いな…。
てっちゃんと一緒ってだけで、どんなことも楽しさに変わる。
全てが輝くんだ。

ふと花火から視線をそらし隣を見ると、てっちゃんと目が合った。

優しく微笑むてっちゃん。
恥ずかしくて、すぐに花火へと視線を戻す。
だけど、隣からはまだ視線を感じて…。
ドキドキしながら、もう一度てっちゃんを見る。

そのまま数秒間、花火の中見つめ合った。

時が…止まったかのような感覚。


…っ。
ぱっと慌てて、視線を花火に戻す。

どうしよう…。

ドキドキが止まらない。
どうしようもないくらいドキドキして…おかしくなってしまいそう。


そして…

てっちゃんの指と私の指が、微かに触れ合った。


…っ!

呼吸が、止まってしまいそう…。


指が触れ合ったのはほんの一瞬。
だけど私には永遠のように感じられた瞬間。

なぜかな?さっき手を繋いでいた時よりも、もっともっとドキドキした…。

触れ合った指先が熱を帯びて、胸がいっぱいになる。


ずっと、この時間が続けばいいのに。
時間が止まってくれたら…なんて、本気で願ってしまった。

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