君ニ恋シテル
夕陽の中、一人歩いていると、沙弓ちゃんのあの言葉がふと頭に浮かぶ。

『徹平くんも、優奈ちゃんを好きだと思うんだ』

「っ…!」

私は思わず足を止め、ブンブンと首を振る。

ないないっ…!
そんなことあるわけが……。

胸がドキドキいって、とまらない…。


『徹平くん、絶対優奈ちゃんのこと好きだから』

「違っ…」

はっ!思わず声に出てしまった。
もうっ!私はまたブンブンと首を振る。
胸のドキドキが更に増す。


…ふと周りを見ると、視線が私に集中していた。


は、恥ずかしい!


オレンジ色に染まる街を、私は全速力で駆け抜けた。

頬が真っ赤なのも、体中が熱いのも、あたたかな夕陽が全て隠してくれた。


「はぁっ…はぁっ…」

足を止め、額の汗を拭い、夕陽をジッと見つめる。

トクントクン…と、胸が鳴る。


私…てっちゃんが好き。
大好き。

てっちゃんは私のこと…どう思ってるのかな?

ほんとに好きって思ってくれてたら…。

嬉しい。


胸がキュンとなって甘酸っぱい。

ドキドキしながら、家まで歩いた。




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