君ニ恋シテル

◇◇◇

夕暮れの街を、沙弓は家へと向かい歩いていた。


今日は優奈ちゃんに会えてよかったな。
話を聞いてもらえて、心に引っ掛かってたものがなくなった気がする。

ちゃんと逞と話そう。
そして、想いを素直に伝えよう。

怖いけど、ちゃんと向き合わなきゃね。


それにしても…優奈ちゃん可愛かったな。
徹平くんの話になったとたん、あんなに顔真っ赤にして。

その時の優奈ちゃんを思い出し、思わず笑みがこぼれた。

ほんとに徹平くんのこと大好きなんだなぁ。
優奈ちゃんと徹平くん、上手くいってほしい。
徹平くんも絶対、優奈ちゃんのこと大好きだもん。


…歩いていると、私と同い年くらいのカップルとすれ違った。仲良く手を繋いで歩く、幸せそうなカップル。

振り返り、そのカップルを見つめる。

夕陽に照らされる二人。
キレイ…。

なんだか切なくて、胸がギュッと締め付けられた。


逞に会いたい…。
会いたくてたまらない。

私…こんなに逞が大好きなのに、なんで連絡無視したりしたんだろう。

バカだ…。


切なくて泣きそうになった。
自分勝手な想いで、逞を無視して逃げてた。
そんな自分に腹が立つ。


マンションに着き、ふと考える。
今日はオフで家にいると、朝に逞からメールが入っていた。

このまま逞のマンションに行ってしまおうか…。


足を一歩前に踏み出したところで、思い直す。

…やっぱり今は危険だ。

また写真でも撮られたら、それこそ大変なことになる。


私は諦めエレベーターに乗り、自分の部屋へ向かった。

とりあえず、逞に電話しよう…今まで連絡無視してたことを謝って…そして。

あれこれ考えながら、エレベーターを降りる。


すると…
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