君ニ恋シテル
玄関の前に人影が見えた。
瞬間、心臓が跳ね上がる。

今一番会いたい人が、そこにはいた。


「…逞っ」

「よっ!」

逞は笑顔で右手を上げ、私に笑いかける。


何も変わらない、いつもの逞だ。
一気に涙が込み上げる。


「…よっ!じゃないよ!なんで来てるの!?危ないじゃん!また写真撮られでもしたら…」

声が震えて上手く話せない。
今にも涙がこぼれ落ちそうだった。


「さゆが無視するからだろ?連絡取れないんじゃ直接来るしかないじゃん」

その言葉に、私は何も言い返せない。


「…中で話そう」

二人でいるところを見られたら大変だ。
私は急いで玄関の鍵を開けた。


すると、部屋に入った瞬間…

「…っ!ちょっと逞っ…!」

思いきり抱き締められた。


「さゆ…なんで無視なんかしたんだよ!」

逞の切ない声に、おさえていた涙が溢れだす。


「だ、だって…別れるって言われ…うっ…怖かった…うぅっ」

「…バカ!」

抱き締める力が更に強くなった。
私は泣きながら、必死で逞にしがみつく。


「ごめん…ねっ…うっ…」

どうして逞を信じられなかったんだろう。

逞はいつだって…


「別れるわけないじゃん…俺がどれだけさゆに惚れてると思ってんの?」

ふわっと、あたたかい手のひらが頭を撫でた。
そっと顔を上げると、逞が優しく微笑む。


そうだよ…。

いつだって、こんなふうに笑ってそばにいてくれた。

どんなときだって…必ず逞がいた。


「泣くなよ。こんなに涙流して…」

瞼にたまった涙を、逞は指先で優しく拭う。


そして…またギュッと抱き締められた。


「好きだよ」

私の耳元で、逞が優しく囁やく。
胸が震えた。


「私も…好き」

小さな声で、返事をする。
足に力が入らない。


逞の唇が激しく重なり、ベッドに倒れこむ。

壊れるほど、何度も何度もキスをした。
そして…愛を確かめあった。

もう二度と離れないように…。



逞…大好きだよ。
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