君ニ恋シテル
テディベア
スタジオ―――――――…


「徹平くーん、はいっ!」

西村さんが小走りで、いつものようにメロンソーダのカップを持ってやって来た。

今はドラマ『夏に恋して』の撮影の休憩時間。


「ありがとう」

俺がカップを受け取ると、西村さんは嬉しそうに笑って隣の椅子に腰かける。


メロンソーダを見ると、優奈ちゃんが浮かぶ。

いつからだったかわからないけど、いつの間にかそうなっていた。

それはきっと、優奈ちゃんが好きな飲み物だからかもしれないけど。


すると、

「徹平くんっ。はいこれ!誕生日プレゼント!」

西村さんが満面の笑みで、キレイに包装された箱を差し出してきた。


「…ありがとう」

突然のことに俺は驚きながらも、箱を受けとる。

近くにいるスタッフが俺達の様子をチラチラと見るのがわかった。

その中には浩ちゃんの姿も。

なんとなく気まずさを感じ、俺は内心汗をかく。


「徹平くん、もうすぐファンの子達との旅行があるんでしょ?その前にどうしても渡したかったの。ちょっと早いけど、一番に誕生日プレゼントあげたかったから!ねっ、早く開けてみて」

西村さんに促され、俺は箱を開ける。
中には見るからに高級そうな腕時計が入っていた。


「ふふっ、これね、高級ブランドの時計。気に入ってくれた?」

にっこりと笑う西村さん。


「…ありがとう西村さん。でも、こんな高価なもの貰っちゃって…」

チラッと浩ちゃんを見ると、驚きのあまりか目を見開いている。

正直俺も驚いていた。
ほんとに貰ってしまっていいのだろうか…。


「いいの、いいの!よかったー!気に入ってくれて」

とても嬉しそうに笑う西村さん。


そして…

「この前は大変だったね。山本くんと野田さんの熱愛報道。ビックリしたよ」

西村さんの笑顔が急に心配の表情に変わる。


「うん…なんとか少しずつ落ち着いてきたから、今はもう大丈夫だよ」

「そっか…よかった」

ホッと胸をなでおろす仕草を見せる西村さん。
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