君ニ恋シテル
「優奈、乙女ゲーム好きだもんね」

「うん」

亜紀ちゃんの言葉に頷くと、

「ゆうにゃん!さっそく紹介するわ」

百合香ちゃんは鼻息を荒くし、興奮気味に言った。


「ふふ…これでプレミアアイテムが手に入るわ」

何を言ってるかよく聞こえなかったけど…百合香ちゃん嬉しそうだなぁ。


「…はっ!そうだわ!ついでにこっちも紹介するわ!」

そう言いながら百合香ちゃんはまた携帯の画面を見せてきた。


「ん?私の彼氏は芸能人…?」

「そう、とっても面白いのよ。ぜひともやるべき。オススメよ」

「そうなの?じゃあ…やってみようかな」

私がそう言うと、ガッツポーズをする百合香ちゃん。

よくわからないけど、とにかく嬉しいというのは伝わってきた。



「ねえねえ、そういえば昨日のドラマ観た?徹平のキスシーン!」

亜紀ちゃんの言葉に、心臓がドキリとなる。


「み、観たよ」

あの夏祭りの日、生でキスシーンを見ちゃったから、正直また見たくない思いが強かったけど…やっぱり見ちゃうんだよなぁ。

花火が打ち上がる中の二人のキスは、凄く絵になってて…キレイだった。

キレイ過ぎて、泣きそうになった。
まるで二人がほんとのカップルのように見えて…辛かった。


「もちろん私も観たわ。イライラして腸が煮えくり返りそうになったわよ」

さっきまで笑顔だった百合香ちゃんの顔が、急に怒りの顔に変わる。


「あれはねー、キスするふりの予定だったのに。凄い女だよ、西村陽花は」

亜紀ちゃんの言葉に、私はうんうんと頷く。
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