君ニ恋シテル
…と、百合香ちゃんが急に口を開いた。


「…私ね、今まで友達って呼べる人がいなかったのよ」

え…。

百合香ちゃんの突然の言葉に、私と亜紀ちゃんは思わず顔を見合わせる。


「いつも学校でも一人だった」

思いもよらない百合香ちゃんの告白に、驚き過ぎて言葉が出ない。


「だから…今凄く嬉しいの。ゆうにゃんと渡辺さんに出会えて、徹平くん達に出会えて…友達になれた。こんな幸せなことってないわ」

胸がギュッとなった。

初めて知った百合香ちゃんの想い。
どんな思いで私達に話してくれたのだろう。


「百合香ちゃん、私達は親友だよ!」

気付いたら椅子から勢いよく立ち上がっていた。


「そうだよ小沢ちゃん!私達はずーっと親友だからね!」

同じように、亜紀ちゃんも立ち上がる。


百合香ちゃんは呆然として、私と亜紀ちゃんを見つめ、

「あなた達…」

フッと柔らかい笑みを浮かべた。

私達は顔を見合せ笑いあう。
三人の絆が、強くなった気がした。



そして…

「…あなた達、いつまで立ってるつもり?早く座りなさいな」

百合香ちゃんの言葉で、私と亜紀ちゃんは慌てて座った。


「あぁー、なんかほんと旅行が楽しみになってきたなぁ」

亜紀ちゃんがニコニコしながら言う。


「そうね」

「うんっ」

百合香ちゃんと私は同時に頷いた。


三人一緒に参加できるんだもんね。
嬉しい!

どんな旅行になるんだろう…?
楽しみだなぁ。


「優奈、徹平にこんな可愛いプレゼント買っちゃったしねー。どんなふうに渡すのか超楽しみー!」

急に思い出したかのように、亜紀ちゃんがニヤニヤしながら言う。


「…っ」

瞬間、一気に顔が熱くなった。
何も言葉がでない。
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