君ニ恋シテル
「優奈…大丈夫?」
「う、うん」
亜紀ちゃんが心配そうに私の顔を覗きこむ。
「まったく。ゆうにゃんはほんと世話がやけるわ」
そう言って百合香ちゃんはため息をついた。
亜紀ちゃんと百合香ちゃんに支えられ、どうにかのぼせる一歩手前で温泉から上がることができた。
「はいっ、コーヒー牛乳!」
「ありがとう亜紀ちゃん」
自販機で買ってくれた、よく冷えたコーヒー牛乳。
コクッと一口。
…美味しい!
熱くなった体がスーッと涼しくなる。
亜紀ちゃんは腰に手をあて、お決まりのポーズでコーヒー牛乳を一気飲みする。
「ぷはぁー!やっぱコーヒー牛乳最高だねー!」
「あら、フルーツ牛乳が一番よ」
「えー?」
百合香ちゃんはフルーツ牛乳派みたい。
「さて…一旦部屋に戻りましょう?夕飯までまだ時間があるわ」
「そうだね。優奈、歩ける?」
「うん、大丈夫…」
答えながら立ち上がる、と…少しだけふらついた。
「もう…ほんとゆうにゃんは」
そう言って百合香ちゃんは私の腕を取り、支えてくれた。
「あ、ありがとう」
両側を百合香ちゃんと亜紀ちゃんに支えられながら、部屋までの道を歩く。
すると…
「あっ!亜紀ちゃん達っ!」
そう言いながら前から歩いて来たのは逞くんだった。
と、すぐ後ろにはてっちゃんの姿も。
わっ…!
瞬間、胸がドキリと跳ねる。
二人とも浴衣姿で髪が濡れている。
か、かっこいぃー…。
真っ直ぐ見れないよぉー…。
「逞ぁ!温泉入ってきたの?」
「そうそう!亜紀ちゃん達も?」
「うんっ!」
亜紀ちゃんと逞くんが会話を交わす中…
「優奈ちゃん…大丈夫?のぼせた?」
てっちゃんが突然話しかけてきた。
えっ…!
パッとてっちゃんを見ると、心配そうな表情。
「…あっ、うん、ちょっとだけ…でも、大丈夫だよ」
「そう…?それならいいけど」
てっちゃんの優しさが、心に染みる。
胸がキュンとなった。
今日やっと話すことができて…凄く嬉しい。
ぽかぽか温かい気持ちになっていると…あることに気付く。