君ニ恋シテル
…と、今度はファンの子達のカラオケ大会が始まり、宴会は更に盛り上がりを見せた。

浩ちゃんとスタッフが一緒に歌ったり、ファンの子とBoy★2が一緒に歌ったりで、凄いことになっている。

私も楽しくてずっと笑っていた。


「じゃあ俺と浩ちゃんでコントやりまぁーす!」

「はぁ!?俺はやらないぞ」

「浩ちゃーん、そんなこと言わないで!」

嫌がる浩ちゃんを逞くんが必死で説得する。


「…しゃあねーなぁ」

浩ちゃんはしぶしぶOKし、二人のコントが始まった。


「あはは!私ちょっと前のほう行って見てくるね」

「ふんっ、くだらない…けど仕方ないわね。見てあげるわ」

亜紀ちゃんと百合香ちゃんはステージの真ん前に移動する。


私はお料理食べながら見よっと。

二人のコントは意外と面白くて、みんなステージに釘付け。

コントって言えるのかどうかは謎だけど…。


「ふふっ」

でも思わず笑ってしまう。


「優奈ちゃん」

へっ……。

お刺身をパクリと食べた時だった。

声のした方向を見ると、そこにはてっちゃんがいた。

てっちゃんはニコリと笑い、私の横に腰を下ろす。


「あ、あれ?てっちゃんどうして…」

さっきまでステージにいたよね?
突然のことにわけがわからず戸惑ってしまう。


「なんでやねんっ!」

「痛っ!逞本気で叩くなよっ!」

逞くんの強烈なツッコミが浩ちゃんにヒットした。

ファンの子達は笑い声を大きくし、スタッフの人達も笑っている。


「二人がコント始めちゃったから、俺もこっちから見ようと思って」

ステージの二人を見つめ、てっちゃんが笑顔で言う。


そっか、みんなステージに夢中になりすぎてて、てっちゃんが降りてきたのに気付かなかったんだ。

私も全く気付かなかったし…。


「美味しい?」

「へっ…あっ、うん!美味しいよ!」

箸を持つ私をニコニコと見つめるてっちゃん。


ダ、ダメだ。
緊張しちゃって食べれない…。

私は箸を置いた。


「食べないの?もしかして…まだ具合悪いんじゃ」

「ううん!…違うの!ちょっと休憩…お腹いっぱいになっちゃった」

そう言うと、てっちゃんは安心したように柔らかく笑う。


私の大好きな笑顔。

てっちゃん心配してくれたんだ。
優しいな…。
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