君ニ恋シテル
てっちゃんは自然と二人の中に混ざり、ステージの上でキラキラした笑顔をふりまく。

さっきまで私だけに見せていた笑顔。


「はぁー…」

なぜか自然とため息が出た。


「なーにため息ついてんのっ」

「えっ?あっ、亜紀ちゃん」

気付いたら亜紀ちゃんと百合香ちゃんが戻ってきていた。


「あー、笑いすぎて喉渇いちゃった」

「私もだわ」

亜紀ちゃんと百合香ちゃんはそう言うと、ジュースをぐびぐび飲む。


すると…

「徹平くんっ!誕生日おめでとうー!」

突然、ファンの子の大きな声が響く。


え…?

ステージの方を見ると、ファンの子達がてっちゃんにプレゼントを手渡していた。

てっちゃんは困惑しながらも、笑顔でプレゼントを受け取る。


「おーい!徹平の誕生日は明日だぞぉ!」

浩ちゃんがそう言うと、

「知ってるー!でも今渡すのー!」

と、ファンの子達。


浩ちゃんはやれやれといった感じで頭をかいた。


「あの子達フライングじゃない!渡辺さん、私達も今渡しましょう!」

「あっ、じゃあ私も…」

「ダメよ!ゆうにゃんはまだ!」

「えっ!でも…って、ちょっと待ってよ百合香ちゃん!」

私の答えを待たずに、百合香ちゃんは亜紀ちゃんの手を引き走り出す。

私を一人残し、部屋にプレゼントを取りにいってしまった。


ちょっとぉー!
なんで今じゃダメなのよー…!

と、あっという間に戻ってきた百合香ちゃんと亜紀ちゃんは、そのままてっちゃんの元へ行きプレゼントを手渡す。

2人のプレゼントを笑顔で受け取るてっちゃん。
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