君ニ恋シテル
私はエレベーターまで一気に走り、飛び乗った。

怒りがおさまらない。


信じられないわ!
なんてデリカシーのない人なの!
一番嫌いなタイプの人間。

なんであんな人が人気あるのかしら?
理解不能ね。


もうっ、走ったせいで髪が乱れちゃったじゃない。髪をととのえようと、頭に手をやる。

瞬間、何故か胸がトクンと鳴った。


…大きくて優しい手だった。
感覚が消えない。


…はっ!私何を考えて。
あの人のせいで調子が狂ったわ!
最悪よ!


エスカレーターから降り、早足で部屋へ向かう。


転んでたのが印象に残ってるなんて、冗談じゃないわよ。

人をバカにして!


私は更に足を早め、気付けば駆け足になっていた。

浩ちゃんを頭から振り払うかのように、全速力で走った。
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