君ニ恋シテル
「おー、徹平おかえりっ!……ん!?何々、その手に持ってるの何ー!?」

部屋に入ったとたん、今度は逞からの質問責めが始まった。


「これってもしかしてー、もしかしなくても…優奈ちゃんからの誕生日プレゼントだったり!?」

「…そう」

「マジ!?なんだよ、散歩とか言って優奈ちゃんに会いに行ってたのかよ!」

「違うよ。ほんとに散歩に出て、そこで百合香ちゃんにばったり会って…それで…」

「それで?」

「ちょっと待って」

「なんだよ」

「…俺が散歩行ってる間、浩ちゃん何か言ってた?」

「は?浩ちゃん?別に何も。っていうか、部屋にも来てないし」

「…そっか」

さっきの浩ちゃんの態度が気になって、なんだか腑に落ちない。


「そんなことより早く続き聞かせろって!」

「…絶対話さなきゃダメなの?」

「当たり前。気になるじゃん!…ってか、何それ?ネックレス?…もしやこれも優奈ちゃんから!?」

「…逞、もう寝よう。明日も早いし」

「ヤダね!話全部聞くまで寝ないし寝かせない!」

心の中で大きな溜め息をつく。
俺は仕方なく逞の質問に答えるはめになった。
いつものことだけど…とにかく逞はしつこい。

だけど、話しながらもとても嬉しくて楽しい自分がいた。それはきっと、優奈ちゃんのことだから…なのかな。


「でもほんとプレゼント貰えてよかったな!徹平めっちゃ落ち込んでたから心配してたし!」

「落ち込んでないから…」

「嘘だぁー!」

「…もう寝る」 

「なんだよー!まだまだ話したりないのに」

「おやすみー」

「つまんねー!」

逞を無視して、俺はベッドに入った。
そして、逞も何かぶつぶつ言いながら、仕方なくといった感じにベッドに入った。


やっと静かになったと思っていたら、

「徹平、寝た?」

「…」

「つまんねー」

うるさい…。


だけど、少しすると案外あっさりと、逞のほうが先に眠ってしまった。


静まり返った部屋。
目をつむると、綺麗な星空と優奈ちゃんの笑顔が浮かんだ。

今日は本当に良い日だったな。


浩ちゃんの態度は気になったけど…とりあえず気にしないでおこう。

多分…あれもきっと、浩ちゃんの優しさだと思うから。




.
< 594 / 679 >

この作品をシェア

pagetop