君ニ恋シテル

* * *

旅行最終日。


「やっぱり朝はパンだよねー!」

「あら、お米だって負けてないわよ」

「いやいや小沢ちゃん、朝はパンって決まってるんだよ?知らないの?」

「そんなの知らないわよ。パンも好きだけど、今日の私はお米の気分よ」

「パンにしようよー!」

「うるさいわねっ!勝手にパン食べてればいいじゃない!」

朝のバイキング。
パンかお米かで何やら言い合いになってる2人。

 
楽しかった旅行も今日で終わり。
あっという間だったなあ。

本当に、夢のような時間だった…。
全部が宝物。

ぼんやりと旅行での出来事を振り返りながら、パンに手を伸ばす。


「やったー!ほら小沢ちゃん、優奈もパンを選んだよっ!」

「ふんっ、なによ!ゆうにゃんの裏切り者!」

「えっ…!?」

そんなこんなで、あたふたしながら席につくと、Boy★2の2人もみんなよりちょっと遅れて、会場に現れた。

すると、ふいにてっちゃんと目が合う。
ニコッといつもと変わらぬ爽やかな笑顔を見せるてっちゃん。
昨日のことを思い出し、なんだかちょっと照れくさい。

あっ…ネックレスつけてくれてる。
それに気づいたとたん、もっともっと照れてしまう。頬が、熱い…。


亜紀ちゃんも気付いたのか、肘で私の脇腹を小突き、ニヤリと笑う。


「よかったじゃない」

ボソッと呟く百合香ちゃん。


恥ずかしくて、私は俯きがちに笑った。



嬉しくて嬉しくて…舞い上がってしまう。

前よりも、確実にもう一歩近付けた気がして…胸がじんわり温かい。



だけど…距離が縮まるたびに、臆病になるのはなんでかな?

多分それは、大好きで…大好きすぎるから。

恋はいつでも、甘いだけじゃないのだね。

甘酸っぱい。


でも、幸せ。
今すっごく幸せだなあ…。


「あー!逞がパンじゃなくてご飯選んでるー!ご飯にすればよかった!」

「徹平くん、パンを選んでいるわ…。パンにしとけばよかったかしら」


てっちゃん、パンにしたんだ…。
同じだね。
こんなちょっとしたことでも、嬉しく感じてしまう。

思わず頬が緩む。
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