君ニ恋シテル
待ち合わせのフードコートに着くと、すでに百合香ちゃんの姿があった。
そして、亜紀ちゃんの姿も。


「優奈おそーい」

「亜紀ちゃんも来てたんだ…?」

「そー。さっきバイト終わって携帯見たら小沢ちゃんからメールが入ってて」

「そっか」

私が椅子に座ると、早速といった感じに百合香ちゃんが口を開いた。


「雑誌、買ってきたわよ」

その声にビクリと肩が震える。
百合香ちゃんはゆっくりと袋から雑誌を取り出すと、テーブルに置いた。


「熱愛って、絶対デマ!ってか話題作りでしょ」

そう、なのかな…。
そうだといいけど…。


「ほらほら優奈暗い顔しなーい!めっちゃ青ざめてるよ」

「だって…」

そりゃ暗くもなるよ…。


「見るわよ!」

鼻息を荒くしてそう言うと、百合香ちゃんは勢いよく雑誌をひらいた。


見たくない…。
でも見たい…確かめたい。
でも…。
あーもうやだ…ほんと無理。


「どれどれー」

身を乗り出して雑誌を見る亜紀ちゃん。


2人がマジマジと雑誌を見つめる中、私だけ俯き視線をそらしていた。

一体どんな内容なんだろう…。
怖い…。


「はぁ?優奈があげたネックレスが西村陽花からのプレゼントでは?ってなってるけど違うし!」

「ほんと西村陽花…つくづくムカつく女ね」

…そんなこと書いてあるんだ。
私があげたネックレスが雑誌でも話題にされちゃってるなんて…。


「ほら、優奈も見な?」

「えっ…」

「大丈夫だから」
 
「う、うん」

見たくないけど、見ないままでいたってどうせずーっと気になっちゃってダメなことくらいわかってる。
つまり、見る意外選択肢はないのだ。

よし…!
意を決して、私は雑誌に手を伸ばした。
ドキドキしながら目を通す。


………。


そこには撮影現場での2人の様子など、西村陽花のブログでの発言や雑誌での発言などが書かれていた。


「何が熱愛よ。むりやり熱愛に持ち込もうとしてるだけじゃない。大体にして決定的な証拠写真があるわけでもないし…バカバカしい」

ブスっとした顏で、百合香ちゃんは大きなため息をついた。


確かに決定的な証拠はない。
だけど、これでわかることは…西村陽花はやっぱり確実にてっちゃんのことが好きってこと…だよね。
それだけでも私にとっては大ダメージ…。
写真が載ってなくて本当によかった。
そんなの見たらショックすぎて倒れちゃうよ…。
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