君ニ恋シテル

* * *

夜。


家に帰ってからも、私の頭の中はてっちゃんと西村陽花のことでいっぱいだった。


「はあ…」

ベッドにゴロンと横になり、携帯を手に取る。


『徹平に直接聞いてみたら?』

って、亜紀ちゃんは言ってたけど…。


メールの新規作成画面を開いてみる。

………。

ダメ。全然浮かばない。
なんて書いたらいいのかわからない。

聞きたい気持ちは山々だけど…やっぱり聞く勇気なんてないんだ。


携帯から手を離すと私は目をつむった。

本当に、好きな人が与える影響って凄い。
良いことも、悪いことも。
こんなにも心を揺り動かして、どうしようもない。


てっちゃんと西村陽花は誰が見てもお似合いに見える。

私なんかより全然…。


考えたくない…。
どうしたら考えないですむのだろう…。


気分転換に音楽でも聞こうかな…。
もう何度も聞いてるBoy★2の曲。
いつ聞いても私の胸をキュンとさせる。


てっちゃんは今どんな気持ちで…何をしているのかな?

…やっぱりメールしてみようかな。


携帯に手を伸ばしてみるも…

やっぱ無理!


あぁーダメだ!
音楽聞いてると余計に考えちゃう。
そして終いには何故か悲しくなってきてしまう。
停止ボタンを押し音楽を止めた。 


何か飲み物でも飲もうかな。
なんだか喉渇いちゃった…。

台所へ行って冷蔵庫を開けると、ピーチの酎ハイが目に入った。

自然とそれを手に取り、自分の部屋に戻る。


そのままベランダに出て、夜風にあたった。
昼間はまだ暑さが厳しい日もあるけど、夜風は確実に秋の風で、ひんやりしてる。

ピーチの酎ハイを開け、一口飲む。
美味し…。


なんだかこうしてると、あの日を思い出す。
Boy★2のイベントでてっちゃんにハグしてもらったあの日。
流れ星を見たあの夜のことを。
あの日もこうやってピーチの酎ハイ飲んでたっけ。

懐かしいなあ…あの時はてっちゃんと友達になってるなんて想像もしてなかった。
ほんの数か月前と今がこんなにも違うなんて。
ほんと不思議。

あの日てっちゃんも流れ星を見て、しかも同じこの酎ハイ飲んでたんだよね。

そのことを思い出し、自然と笑顔になる。

今までの思い出、全部が大切すぎるよ。
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