君ニ恋シテル
* * *
携帯の画面をジッと見つめながら、書いては消してを繰り返す。
………。
ダメだ。
なんて書いたらいいのか…どう書いたらいいのかわからない。
小さく溜め息をつくと、突然インターホンが鳴った。
「やっほー!徹平!飲もうぜー!」
玄関を開けたとたん、ずかずかと勝手に家に上がり込む逞。
「俺今日は早めに寝ようと思ってたんだけど」
「いいじゃんちょっとだけちょっとだけ」
ちょっとだけって…そう言ってていつも中々帰らないでソファーで寝るくせに。
「可愛い可愛いテディちゃん~♪」
飾ってある優奈ちゃんから貰ったテディベアのぬいぐるみをポンポンと撫でると、逞はドカッとソファーに座り、さっそく缶ビールを開けた。プシュッと良い音が部屋に響く。
「そういえば優奈ちゃんから何か連絡きたー?」
「きてない」
「マジ?じゃあ早く徹平から連絡しないとー!絶対優奈ちゃん待ってるぜ?メールしたら?」
「…」
さっきからずっと考えてはいたけど…。
全然文章がまとまらない。
「だからさぁ、『西村さんとは何もないんだ。俺が好きなのは…優奈ちゃんだから!』ってやればいいんだって!!」
そう言って大きく笑うと逞はぐびぐびとビールを飲んだ。
…ほんと逞って何の相談相手にもならないよな。
「なんだよ徹平その冷たい目はー!せっかく俺がアドバイスしてやってるのにー。あ、そうだ。これ徹平のぶん~」
逞が袋から取り出したのはピーチの酎ハイだった。
「これ、好きだろ?」
「ああ…サンキュ」
「ふふふ。優奈ちゃんも好きな酎ハイな!おソロ~」
ほんっといちいちうるさい…。
缶を開け一口飲むと、甘さが口いっぱいに広がった。
「なあ、ちょっとベランダで飲もうぜー」
「いいけど」
立ち上がり逞の後に続く。
ベランダに出ると、少し冷たい風が体をすり抜ける。
「やっぱちょっと肌寒くなってきたよなぁ。いよいよ夏も終わりかぁ」
しみじみと話す逞の言葉に頷く。
少し寂しさを感じる涼しさ。
夏から秋になるこの時期は、妙にしんみりした気持ちになる。