君ニ恋シテル
ーーー次の日。


「いえーい!盛り上がってるかーい!?」

ノリノリな亜紀ちゃんに、ノリノリでタンバリンを鳴らし答える百合香ちゃん。

そんな二人の様子をジュースを飲みながらぼんやりと見つめる。


時刻は夜。
私達は今、カラオケに来ていた。
いつも来てるお店、カー坊。
Boy★2のライブが始まるまでの間、時間つぶしでここに来たあの日がもはや懐かしい…。


「優奈盛り上がってるかーい!?いえーい!」

「いえーい……」

「ゆうにゃん暗すぎるわよ!」

「そうだよー!」

だって…。全然元気出ないんだもん。
結局昨日はてっちゃんに連絡出来ないままいつの間にか寝てて。
朝になって真っ先に携帯を見るも、てっちゃんからの連絡は入っていなかった。
がっくりと肩を落とした一日の始まり。


「せっかく優奈を元気づける為にカラオケに来たのにー!」

「そうよ、ゆうにゃん。今日はオールよ。朝まで付き合うわ」

「ありがとう…」

私があまりにも元気がないから、二人が心配して誘ってくれたのに…こんなんじゃ悪いよね。
わかってるんだけどね…。


「もー、だからさあ、あんなの気にすることないって。絶対デマだから」

そう思いたいけど…

「でも…もしかしたら実はいつの間にか付き合ってたとかかもよ…?」

「はぁ?ないでしょ…優奈後ろ向きすぎ」

「そうよ、ゆうにゃん。それはさすがに考えすぎよ」

「そうかな…」

ダメだ…どうしても悪い方向にばっか考えちゃう。


「だーかーらー。昨日から言ってるけど直接聞けばすむ話でしょ?さっさとメールして聞いてみなって」

「聞けないよ…怖い」

「弱虫!」

「うっ…弱虫だっていいもん」

「まあまあ渡辺さん落ち着いて?そんな怖い顔して。ゆうにゃん泣きそうになってるわよ」

「だってー!イライラするっ!」

弱虫にだってなるよ…。
やっぱりどう考えたって、てっちゃんと西村陽花はお似合いに見えるし、こんな報道までされてるの見たら、デマでもなんでも凹むよ…。


「ゆうにゃん、ほらジュースいっぱい飲んでアイスでも食べなさいな。そして今から私の歌で元気にしてあげるわ!」

「百合香ちゃん…ありがと」

百合香ちゃんはBoy★2の曲を思いっきりハイテンションで歌ってくれた。


そして、その後も二人が色々歌って盛り上げてくれて…気付けは私も少しずつ笑顔になっていた。
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