君ニ恋シテル
しばらくすると、目的地のコンビニに着いた。

もちろんてっちゃんはちゃんと帽子も被って変装ばっちり!

なんだか、ファン旅行を思い出す。
あの日もこんな風に二人でコンビニに来た。懐かしいな。

籠を手に持ち、二人で店内を見て回る。


「お菓子はこれくらいでいっか」

「うん、そうだね。後はジュースとお酒…」

そう言いながら目に入ってきたのはメロンソーダ。
思わず手を伸ばすも、手に取る直前でピタッと止まる。


「…どうしたの?」

「…っ、なんでもないよ…!ちょっとボーッとしちゃってた。あはは」

そう言いながら、パッとメロンソーダを手に取り籠の中へ入れた。


わあ、なんか気まずい…。
絶対不自然だったよね…あぁー私のバカバカ!
どうしても西村陽花が浮かんでしまって、つい手が止まってしまった。


気を取り直して、今度はお酒選び。

「えっと、ビールとそれから…あ!」

ピーチの酎ハイだ!
ぱっと手を伸ばすと、手と手が重なった。


!!


「「ごめんっ…!」」

二人の声が重なり、二人同時に手を引っ込める。

てっちゃんと私、同じタイミングで手を伸ばしてしまったのだ。


ビックリ、したぁ…。
ドキドキと心臓が早鐘を打つ。
絶対顔真っ赤だよー、どうしよう。

チラリとてっちゃんのほうを見ると、てっちゃんは私とは真逆の方向を向いていた。

あれ?
なんか、耳が赤いような気がするのは気のせい…かな?
気のせい…だよね?

え、でもなんかやっぱり…。
ダメだっ、恥ずかしすぎる…!

ますます意識してしまって…その後の二人の空気はとてもぎこちなかった。

それでもなんとか会計をすませ、お店を出る。
もちろんピーチの酎ハイも、しっかりと買って。
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