君ニ恋シテル
ーーー来た道を歩き出すも、お互い無言のまま。

さっきの気恥ずかしい空気がまだ残ってて、普通にできない。

何か話さなきゃ何か…なんて考えていると。


「持つよ」

「え?」

「重いでしょ?」

「大丈夫だよっ…!てっちゃんのほうがもっと重いの持ってるし…」

「かして」

言葉を返す間もなく、あっという間にてっちゃんは私の手から買い物袋を奪い取ってしまった。


「でも、悪いよっ…」

「全然平気。気にしないで」

ニコッといつもの笑顔を見せるてっちゃんに、それ以上は何も言えなくなってしまう。


「ありがとう」

「うん」

素直に、嬉しいと思った。
よく漫画とかでこういうのあるよね。
密かに憧れていた、こんなシチュエーション。
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