君ニ恋シテル
ーーーその後、またさっきみたいに部屋は宴会状態。

せっかく綺麗にしたテーブルもあっという間に散らかってしまった。



そして…

時刻もどっぷり真夜中になる頃。


「みんな酔っ払って寝ちゃったね」

「うん」

私とてっちゃん、二人だけが起きてる状態に。


さっきまでの騒がしさが嘘のように、しんと静まり返っていた。

その静けさがなんだか気まずくて、飲みかけのメロンソーダをこくりと一口飲む。



「ちょっと風にあたろっか?なんか、部屋暑いし」

「う、うん…!いいね、そうしよう」

「優奈ちゃん先にベランダ出てて。飲み物持ってくる」

「ありがとう」

ベランダに出ると、ひんやりとした風が体を包む。


「はい、飲み物持ってきたよ」

てっちゃんが差し出したのは、さっき一緒にコンビニで買ったピーチの酎ハイ。


「飲もう」

微笑むてっちゃんに私も笑顔で頷き、同時に缶を開ける。


甘い香りがいつもより強く感じるのは、1人じゃなく2人だから…だよね。
香りだけで酔いそうなほど。


「「乾杯」」

小さく缶を当てると、こくんと一口飲んだ。

ぽわあと胸があったかくなる。
お酒のせい…というよりは、てっちゃんのせい。
だって、凄くドキドキする。
この雰囲気に、酔ってるのかな…。

こうやって一緒に飲める日が来るなんて…夢みたい。


穏やかで、静かな時…。
時折吹く風の音だけが二人を包む。

何か会話のネタを探すけど、全然浮かんでこない…。
だけど、とっても幸せな空間で、会話がなくてもあまり気にならない。

目に映る景色をじっと見つめる。
街の明かりがキラキラ輝いて、とっても綺麗。

ずっとこうしていたいなぁ…。


なんて思っていると、急に部屋のほうから大きな音が聞こえてきてギョッとする。

思わずてっちゃんと顔を見合わせる。

これは…いびき?


そーっと部屋を覗くと…いびきの正体は洋祐くんだった。

洋祐くん…!せっかく良い雰囲気だったのに!

もうっ…台無しだよ。


でも、てっちゃんを見たらおかしそうにクスクス笑っていて…その姿を見ていたら、私もおかしくなってしまって顔を見合わせ一緒に笑った。
< 630 / 679 >

この作品をシェア

pagetop