君ニ恋シテル
公園から出ると、てっちゃんは何故か街とは逆方向へと歩き出した。

あれ?
街に行くならこっちじゃないよね…?

不思議に思いながらもてっちゃんについて行くと、駐車場にたどり着いた。

えっ…駐車場?って、もしかして…。


「どうぞ。優奈ちゃん乗って」

わぁー!やっぱり!
車だ…!!


「こ、これ、てっちゃんの車?」

「うん、そう」

免許を持ってることは知っていたけど…まさか今日車で来てくれるなんて思ってもみなかった。


緊張しながら、車に乗り込む。

さすがてっちゃん。
車内も綺麗にしてる。

憧れの助手席。
大好きな人の隣に今座ってるんだ…。

あ、ちゃんとシートベルトしなきゃね。


そして…
てっちゃんが車のエンジンをかけ、いよいよ出発。

車が動き出す。


ひゃあードライブだよ、ドライブ!

ドキドキしながら、チラリと横を見る。
てっちゃんの真剣な横顔…カッコイイ。

これだけで本当に幸せすぎて…デート始まったばかりなのにもうのぼせそうになってる。


運転上手だなぁ…。

思わずじーっとてっちゃんを見つめていると、赤信号で止まった時、てっちゃんがこちらを向き、ばっちり目が合ってしまった。

…っ!

やばっ。ちょっと見すぎちゃった…。
恥ずかしいー…どうしよう、何か話したほういいよね。

「てっちゃん、運転上手だねっ!凄いなぁ…」

「ありがとう、でも全然普通だよ」

「普段から結構車は乗ってるの?」

「そうだね、ドライブ好きだから」

「そういえばこの前の雑誌のインタビューでも言ってたよね。ドライブ好きって」

「うん、見てくれてたんだ」

「もちろん…!全部チェックしてるよー」

よし。普通に会話できてる。
いい感じ。
ちょっとだけ、緊張がほぐれてきた。


「そうだ、映画何観たいか決めた?」

「あ、うん!えっとね、迷ったんだけど、あれが観たいなあって…」

映画行こうってことになって、観たいの考えといてって言われてたんだよね。
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