君ニ恋シテル
ほんとにほんとに、てっちゃんが大好き。

気持ちが溢れ出そう。


あとは…この気持ちを言葉に出す勇気だけ。

それだけ。


…それだけのことが、こんなにも難しいなんて。



「だいぶ上まできたね」

「そうだね」

もうすぐ頂上だ。
ゆっくりゆっくり、観覧車が動く。



好きだって伝えたい。
伝えなきゃ…。
でも、いっぱいいっぱいで、言葉が出てこない。

伝えたら、どうなるのだろう…?
きっと今のようには戻れない。

今が幸せ過ぎて、怖い…。
今のままでも、じゅうぶん過ぎるほど私は幸せ…。
だから、だから…?
言えない。

結局私は、勇気のない弱虫なんだ…。



「そういえば、さっき優奈ちゃん何か言おうとしてたよね」

「えっ?あ…えっと、その…」

どうしよ…誤魔化す?それともやっぱり言っちゃう?


「何?」

「…っ」

逃げたい。でも逃げたくない…!


伝えたら今の関係が変わるかもしれない。
どんな風に変わるかはわからない。
だけど、また逃げ出す弱い自分は嫌だ…!


テディお願い。勇気をちょうだい!
テディの頭を撫でようと、鞄にそっと手を入れる。

…と、次の瞬間!


手を滑らせ、鞄を地面に落としてしまった。
その弾みで、鞄の中身が外へ…。


っ…テディ!
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