神様のおとした白いリンゴ
――――僕はまた白い夢を見ていた。
例の少女が白い傘をさしてまた立っている。今度は雪が降っていて、空は灰色に塗り替えられていた。
少女はなにも言わず、雪から青い一輪の花を守っている。
なぜこんな寒い所にいるんだ?
僕は彼女に問いをかけた。彼女は何もいいこそしなかったが、しゃがんで、無機質な表情を和らげ、愛しむように花を撫でた。
その花がよほど大事なんだろうか。
しばらく花を撫でる彼女の美しく優しい顔にみとれていると、彼女は静かに声を発した。
「あなたは生きる権利があります」
花を見つめながら彼女は続ける。
「生きなければなりません、これが最後だから……………」
花に言っているのだろうか? この白い草原で、唯一生きた花に。
「さぁ、おかえりなさい」
最後に彼女は、僕を見てそういった。
その後、すぐ意識がとおのいていって、夢の終わりをさとった………………………………