それでも世界はまわる -white snow-
「旅行が待ちきれんの?」

「うんうん、できるなら今すぐにでも!」

「・・・じゃ、時間、進めてあげよぉか」

一歩近寄ってきた。

「え? ほんと?」

「できるよ」

美緒奈は、にやりとする。

そして、制服の内ポケットから袋を取り出した。中にはパイが入っている。

「時間を進めるパイ」

「・・・不思議道具、いつもそんなとこに入れとるん?」

「いや、今日は特別。大丈夫、ちょっと温かいけど汚れてないけぇ」

美佳の手に渡るパイ。
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