それでも世界はまわる -white snow-
まず目に映ったのは、おそらく先ほどまでの声の主。
見た感じで判定するところ二十七、八歳くらいか。小柄な男だった。セーターに綿製のパンツというラフな格好でいる。
美佳としばらくお互いを見つめ合っていた。

・・・この人は?

「やっと起きたか」

美佳と合わせた視線をずらさずに、彼は左手の人差し指で左にある校舎を示した。

「校長先生が、風吹と神楽を呼んどったぞ。神楽とはさっき階段の下で会ったけぇ伝えたんだ。あいつは今そこでお前を待っとるけぇ、まぁ・・・一緒に行きんさい」

「え? あ・・・はぁ・・・」

目の前の小柄な男、会話からおそらく教師であろう者が、ぽりぽりと頭を掻きながら話すのを、美佳は目をしばたたかせて聞いていた。
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