それでも世界はまわる -white snow-
「なんで一年も進んでんのさ! 韓国旅行までで良かったのに、もう高校生じゃん!
 りおん君と結婚とか嬉しいけど、過程がなくてぶち困っとるんじゃけぇね!」

「ちょっと間違えただけじゃんか。
 それに一年も昔のことだけぇ覚えてないし」

へっと鼻で笑った美緒奈を、美佳はきつく睨みつけた。

「戻して、くれるんじゃろう?」

それを聞くと美緒奈は無言、無表情のまま、がさごそと鞄を探って二番目のポケットからビニール袋を覗かせた。

それに手を入れ、中からパイを取り出すと美佳に向ける。
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