それでも世界はまわる -white snow-
「いや・・・そんな、もらえないですよ。学校に通えるだけでもありがたいのに」

「でも慎佳ちゃんは好きみたいだよー」

赤ん坊のそばに封筒を置く。
すると彼女はきゃっきゃと笑い始めた。この年齢でもうお金の価値が分かるのだろうか。

校長は赤ん坊を少しあやしてから、美佳が放心状態なことに気付かず話しかけてきた。

「はは。風吹くん、慎佳ちゃんはお母さん似じゃないか。特に頬。ぷっくりしたのは君そのままだね」

「慎佳・・・あたしが、お母さん・・・?」

(慎佳、慎佳・・・慎吾美佳・・・慎吾と美佳・・・慎佳・・・)

何度も何度も繰り返す。
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