それでも世界はまわる -white snow-
校長室の豪勢なファンヒーターの音と、慎佳の小さな笑い声が耳に入ってくる。
どうやらこの辺りは雪が積もらないらしい。潮風のせいだろう。それが窓を揺らす音も部屋に響いていた。

慎吾と校長は祝い金のことで少し押し問答しているようだ。

だがそれは美佳が落ち着くまでに十分な時間ではなかった。

「あれ・・・?」

「え? どーしたん、美佳?」

ゆっくり近寄ってきた慎吾を、美佳は見上げた。
< 90 / 124 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop