ラヴレターを君に

小学校高学年になると
僕らは男女という壁で
あまり話さなくなったね。


…寂しかったよ。


あの頃の僕には


鬼ごっこより
ケイドロより
テレビゲームより


どんなに面白い玩具より


君と過ごす日々が大切で、大好きな時間だった。



だけど
そんな事言える訳もなく


恥ずかしくて
喧嘩も沢山したね。


その度
謝るのは僕で。


頑固な君は決して謝ろうともしなかった。


謝る時は
必ず右手に
さくらんぼの飴玉。


…本当に現金な奴だ。


飴玉がないと許しゃしない。


しかも
さくらんぼじゃないと怒るんだから

僕の『フルーツ盛りだくさん』の飴袋には
いつもさくらんぼだけ無かったよ。

…まぁ、君の笑顔を見ると
許しちゃうんだけどね。


さくらんぼの飴玉をほうばり
ほっぺが片方だけ大きくなる

嬉しそうな君。

頑固で意地っ張りで
不器用で素直で夢見がちで

そんな君の

笑顔が
大好きだった。


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