少年Sと知識の泉
「これをお前さん以外の誰にも見せないこと」

「この本を、見せない?
 みせてはいけないのかい?」


シュタインは、老婆に問いかけた。


「ただ、それだけさ。
 約束を破ったら痛い目をみるんだがね・・。ひひぃっ」


この際、胡散臭くてもいいか。

本に変りはないし。


「いいよ。その条件守るから!
 誰にも見せなきゃいいんだよな?」


「ああそうさ。
 守れるといったね。
 じゃあ、お前さんにやろう」


そういって、


老婆はシュタインに本を手渡した。



「ありがとう、お婆さん!
 こんなにいい本くれてさ。
 条件ちゃんと守るから
 じゃあな!」


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