少年Sと知識の泉
(姿はとうの昔に、無くなりました。
 ただ、この「意識」、といっておきましょうか。
 私はこの闇の中でのみ、
 意思を貴方に送ることしかできない)


「何で、ですか?この暗闇。まるで、地獄。
 そう表現していいものかは、わからないけど」


(そうですね、地獄と呼ばれることもある)



(この闇の中で、貴方を待っていた)


「さっきから、そればっかり言ってますね。
 何か、あるんですか?」


こんな暗い、闇の世界にやって来てるのも


おかしなことだけど。


第一、どうやってここに着たんだ?僕は?


(やはり、混乱されているようですね。
 しかたありません、ここは「異界の狭間」
 なのですから)




「異界の狭間?じゃあ、ここは人が住むような場所じゃない。
 精神のみの、世界であってますか」



(ええ、それに近いです。この場所事態、
 貴方以外にこれる者はいないのです。)
< 22 / 39 >

この作品をシェア

pagetop